飛行機に乗ってから8時間、ずっと外が明るい。

どうやら時間と一緒に進んでいるらしい。

週に1本しか出ない船は、十人ほどの人が乗っていた。ゆっくり岸を離れて、湾を進んでいく。

陽の当たる席に座っている二人のおばあちゃんのおしゃべりが尽きない。

何を話しているのかは全く分からないのだけれど。

もう島に到着するという頃、編み物をしていた先程のおばあちゃんが言う。

「この船に乗ってるの、あなた以外はみんな島の人よ」

​その小さな島にはまだ春が訪れたばかりで、

まだ冬の冷たい空気がそっと残っていた。

遠くまで来たというのに、針葉樹のあいだを透る陽の光が

幼い頃育った街のそれにどこか似ていて、懐かしい気持ちになる。